夜 小豆大福

 

天国には夜がないらしい。

夜がないということは、朝も夕もないのだろう。

朝も夕もないということは、

まっさらな朝陽の輝きに包まれる空も、

まっかに燃える夕陽に溶けてしまいそうな空もないのだろう。

そうやって考えながら見上げたつるりとした満月も、きっとないのだろう。

恋人たちが一番星を見つけて笑い合うことも、

子供たちが一瞬の流れ星に願いを託すこともないのだろう。

そうして、

そうして、

それらに僕の胸が締め付けられることもなくなるのだろう。